「べるさおゆばらのよばなし」

  沸国宮殿薔薇話

   歌舞伎座 1989年俳優際にて

 私はテレビでこの催しを見ました。何だろうと思ったら、歌舞伎座の1年に1度やる俳優際の出し物で、宝塚のパロディだったんですね。これビデオに撮ってあって、最近久々に見たら、またまた大爆笑してしまいました。「ベルばら」でこんなに笑えるなんて!とにかく笑えます。女性のみの宝塚に対して、男性だけの歌舞伎版バージョン、これはパロディの王道を行っていると思いました。

 キャスティングは次のとうりでした。

オスカル・・・・・・・・・・・・・中村児太郎(現在の中村福助さん、大の宝塚ファンだそうです。)

アンドレ、小公子・・・・・・市川右近

アントワネット・・・・・・・・・中村雀右衛門

フェルゼン・・・・・・・・・・・澤村宗十郎

アラン・・・・・・・・・・・・・・・中村歌六

ブイエ将軍・・・・・・・・・・・澤村藤十郎

ベルナール・・・・・・・・・・・市川門之助

カンクルー候夫人・・・・・・中村勘九郎

エンデブ候夫人・・・・・・・・市川猿之助

オトワーヤ王子・・・・・・・・尾上菊之助

構成・演出・・・・・・・・・・・・市川猿之助

 宝塚ファンという中村児太郎の熱の入った真剣な演技は感動物。(真剣にやっているのはどーもこの人だけ?(笑)) とっても愛がはいってました。かつらとマントは自前で作ったそうです。シナリオは一応あるみたいなんですが、フェルゼンにいたっては半分忘れてて、ほとんどアドリブ状態でした。でもみんなすごく楽しんでやってるという感じです。ところどころ宝塚調が突然歌舞伎の言いまわしになったり、大見栄をきったり、義太夫が流れて来たり、爆笑の連続です。ストーリーはほとんど無くて、マリーアントワネットとフェルゼンのシーン(この二人は役者の年齢が高齢なので、老夫婦がボケと突っ込みをしてるみたい)があって、そのあとオスカルがアントワネットとフェルゼンに忠告するシーンがあって、やっと登場したアンドレが「愛あればこそ」を悦に入って歌ってました。歌舞伎の方は歌が実に上手ですね。特にこの市川右近さんの「愛あればこそ」はマジで素晴らしかったです。途中演歌調になってましたが、真面目に歌うとすご〜く上手!。男性のテノールでこの歌を聞いてもすごく素敵なんだなあと思いました。これを聞いて、女性と男性のデュエットで真面目に歌った「愛あればこそ」を是非聞いてみたくなりました。そうこうしてるうちに「橋」の場面になります。アンドレが死んで、宝塚ではテンポ良く展開するのが、ここから「バスティーユ」までがやたら長かった(笑)。なんか三味線の音が流れてきて、「お〜すう〜かあ〜るう〜う〜〜たあたかあ〜いがあ〜おわあった〜らあ〜・・・ぶう〜じい〜いにい〜しゅう〜げえ〜えん〜んをお〜・・」とか歌が聞こえてきて、児太郎さんがそれに合わせて、踊り始めちゃうし。歌舞伎舞踏でオスカルの悲しみをしっとり表現。でやっと幕になったら、バスティーユの群舞シーンもちゃんとあるんですよ!これが。もう笑えて笑えて。皆さん、足の上がり方が苦しそうでした。というかほとんど上がってない。やっぱり、さすが宝塚は違うわ!(当たり前?)   そして、オスカルが撃たれ、・・・。オスカルの死ぬ場面、児太郎さん迫真の演技でした。 最後はなんとフィナーレまでありました。うーん、映像でお伝えできないのがもどかしい!・・・。「愛の巡礼」をしっとり歌い上げてました。袖がびろびろの超宝塚っぽい衣装を来て男役風のダンス「ばらのタンゴ」もあり、兵隊さんのラインダンスもありました。もうほんとに面白いです。これ。皆さん、さすが歌舞伎俳優、ふざけてやってても、演技が重厚(!?)。

 惜しむらくは私は是非坂東玉三郎さんのオスカルが見て見たかった!。玉三郎さんでてませんでしたが、こんなふざけたのには出ないいんでしょうかねえ。単にいそがしかったのかもしれないけど。

 女形のオスカル、内股でした。・・・(笑)