趣味百科 少女コミックを描く 第2回

  この番組は里中満智子さんが司会で少女漫画の描き方を教える番組でした。

  連続十数回くらいの放送だったと思います。

  毎回まんが家のアトリエを訪ねるアトリエ訪問というコーナーがあり、第2回の放送で池田理代子先生のアトリエ訪問がありました。

  そこでの里中先生と池田先生の会話(抜粋)は次のようなものでした。

里中:「ベルサイユのばら」という誰でもが知っているあのすごい作品があって、そのあといろいろあるんだけど、今は主に大人向けのをかいていらっしゃるんだけど、その流れの中で一口で言いにくいと思うんだけど、まんがを描いている意識というのは、特にベルばら以前とベルばら以後では、そして今と、何か大きく変わった事あるかしら?。」

池田:「あのね、一つには今若い人たちがデビューしてしばらくはそうだと思うんだけど、やっぱり出版社のご意向というのがあるじゃない?。学園ものにしてくださいとか、必ずハッピーエンドにしてくださいとか、シーズンが冬だからバックにクリスマスの絵を入れてくださいとか、けっこう色々な制約があるわけでしょ。それでね、わたしね、ベルばら描く時も、当たっちゃったから勝てば官軍みたいなとこあるけど、編集部ではすごく反対があったの。歴史ものなんてね、少女相手にね、当たるわけないっていうのがあってね。それまでね、結構言うこと聞いて描いてたのがこれだけはやらせてもらいます、って形でね描いてね。ベルばら以降っていうのはこれで自分の好きな描きたいものが描ける、それと一つは大きいお目目でどうこうっていうような純然たる少女漫画にこだわらなくてもっていう、そういう大きな意識の変革はあったわよね。」

里中:「ベルばらの場合は架空の人物が主人公なわけよね。」

池田:「そうね、あれはね、でも主人公じゃなかったのよねえ。」(微笑みながら)「それはね、読んでけばわかるけど、わたしはねマリーアントワネットが主人公でと書き始めたんだけど、途中でねえ。...」

里中:「すごい思い切った事よね。」

池田:「あれはね、ほんとね、怪我の功名っていうかねえ。あの、とにかくね、軍人を描きたかったのね。てゆーのはね、革命の時にね,ねがえって、市民の側についたフランス衛兵っていうのが実在の軍隊だったんだけれど、それを指揮した人というのを描きたかったのね。でも男性でしかも軍人といのは、あたし、あの当時描き始めたのが24歳でしょ。で、現在の生身の男のことでさえよくわからない年代なのに、そんなね、軍人でしかも男性でなんてとても理解できなかったのね。どういう考え方をしてどう生きるのか理解できなかったのね。これはね、もう女にするしかないと思って。・・・

管理人のコメント

 

そ、そんな風にオスカル様はお生まれになったのですか!。フランス衛兵隊って史実として素晴らしい軍隊だったんですね。それから怪我の功名?ってどうゆうことですかん!。なにが怪我なんですか?。ま、いいか。やっぱり、オスカルは最初「主人公ではない=つまり脇役まではいかないのしても”準”の存在」のおつもりだったのですね。話には聞いていましたが池田先生が断言しているのだから、本当なのでしょう。。(じゃあ、アンドレなんて、最初は端役もいいとこだったんでしょうか?・・・)

映画、アニメでは完璧にオスカルが主人公に、アンドレが準主人公になっていますが、マリーアントワネットとフェルゼンにスポットを当てたバージョンのある宝塚だけが、本来の池田先生の意図に近い(?)のでしょうか。・・・