子羊亭和歌集

 このお部屋には子羊の寝殿やお庭にて、皆さんが詠んで下さったお歌を集めさせて頂きました。
 歌とその意味や解説などは掲示板に皆さんが書き込まれたコメントから転載させて頂きました。その他、多少ままかが独断で付けた註や、補足的コメントなどが付加されてます。


幽べるさん

 小夜更けて 遠きえにしに 身をつくし なき渡る雁 たぐへやせまし

意: (出張先の)筑紫での夜がだんだん更けていく。あの『遠きえにしに』に身をささげていた都(自宅)でのことに思いを致し、鳴きながら空を渡る、秋を告げる渡り鳥の雁の声に自分も泣きたい思いである。そんな雁にわが身を重ねて、わが身を伴わせて(都に連れて行って)しまおうかしら。


幽べるさん

  今はとて 寄する潮風 旅衣 浅くもあらぬ えにぞありける

意: 都へ帰る今になり、旅姿の自分にこの地の潮風(波音?)が寄せてきて身に染みるようである。この(玄海灘の)江が浅くないように、この地もまた私とは決して浅くはない縁だったのだなあ。
 異郷の地にて故郷を恋しく思いながら、いざ去る時に当たり、短いながらもこの地に愛着を覚えている自分に気付き、一抹の寂しさを感じる……みたいな所ですか。これも、和歌にありがちなテーマなんですが、なんか、今回これ、実感してしまいました。


葛桜さん

  短夜に おとづる君と 若えつつ つもりふること えにし月かも

意: 夏の夜に訪れて、ライブで熱唱してくれたアキラの君と一緒に若返り、和歌に詠みました。月明かりの下で、君の古い歌を聞いて思いましたよ。よほど縁のある方なのだなあ。私は今夜、月とツキ(幸運)を得たのだなあ。
 (ままか註:アキラの君はフィンガーファイブのボーカリスト晃くんとおかっぱアキラ君を掛けていらっしゃいます)


雅景さん

−網落の境遇にて君を想う−
 静かなる 山懐に 抱かれて 聞こゆ沢の音 淵より流る


意: 静かな山の中、聞こえてくる沢の音、この流れが上流にある淵から絶え間なく流れてくるように、静かな山々に囲まれてネット落ちの状況で休暇を過ごしていても、あなたへの想いが(恋が積もってできたという)淵から尽きせず溢れてくることだ。
 積もりに積もった恋心が淵のように深くなって、それがあふれ出て来るあの淵から。
 ままかさんに捧げます。

(幽べる先生による解説)
 まず詞書の「網落」は、「ネット落ち」すなわち旅先にてネットが使えず思うように「遠きえにしに」とやりとりが出来ない環境をおっしゃってますね。
 この歌は本歌があったんですよね。(「本歌取り」といって、新古今和歌集ではよく使われたんですよ。元の歌を背景に別の歌の世界を作り出すという手法です。)
 8話の歌合わせ(連歌でもある)中の歌の下の句、「恋ぞつもりて淵となりぬる」が背景に置かれています。「沢の音」が絶え間なく聞こえる、そんな静かな山奥の風景に、もう一つの空間が潜んでいる。まさに「淵」という言葉を入り口に、「恋心が深く積もり淵になってしまった」という本歌の世界が広がり、デュアルで深みのある趣きをかもし出しています。
 そして、今この思いをいとしい人(ままかさん)に届けたいという詠手(雅景さん)のほとばしるような情感が、「淵より流る」という最終句に集約されているといえましょう。
本歌取りの中でもこの歌は、「淵」というたった一語から、8話の歌へつながるという、少々特殊な形を取っていますが、それだけに背景となる本歌を探す楽しみのある、機知あふれる詠みぶりです。
……とちょい解説書っぽくコメントしてみました(^^)。まるで自分の歌のごとく…雅景さんすみません。
これ、本当に凄い歌ですよ〜。解説書きながら改めて思いました。本歌取りって難しいんですよね。雅景さんのいらっしゃる場所と、ままかさんへの思いを見事に表現しながら、8話の歌へとつながり、そこに描かれているのは山紫水明の世界……(うっとりvv)


Srさん

 楽しみは なごやかに歌 詠み愛し 人の姿を 思いそむ時

(ままか補足)
 掲示板にて楽しくお歌を詠まれる皆様に寄せて下さいました。柔らかな幸せな気分になるお歌です。有難うございました!


ままか

 集われし貴婦人の御方々へ歌を致す。のうちの一首。 / 佐為@月見の宴

 雅景の君、この歌はあなたに捧げましょう。
 雅なる 月の宴に 誘はるる 乙女の衣に かげや差すべき

(ミニ佐為&光劇場的解説)
「なぁ、佐為、これどういう意味よ?。」
「意味ですか?。詠んだ通りなのですが・・・;。そうですね。『情趣溢れる秋の月夜にままかさんのお邸に集われ、楽しげに歌を交わされ、宴を催される皆様の麗しい衣裳は、月明かりに照らされて、尚更美しいことですねぇ。そんな美しい貴女方ご婦人を照らす月光に雲の影など差すものでしょうか。いえ差したりしないでしょう。美しい貴女方、とりわけ、邸の主であるままかさんに素晴らしい歌を下さった雅景の君にこの歌を捧げるのですよ。』とまぁ、こんな意味です。」
「へーっ。」


雅景さん(↑の歌への返歌)

  秋つ風 吹く雲間より 影さして 月の宴に めぐる盃

(ミニ佐為&光劇場的感想)
「私に返歌ですか?。わー、とても嬉しいです(*^^*)。ありがとうございます、雅景さん。またまた、情趣溢れるお歌ですね。」
「あれ?。これってなんかかっこいい歌だな?佐為。お前、『乙女』とか詠んじゃってるけど?。」
「そうですね、『めぐる盃』・・・とは、何かとても凛々しい感じですね、光。」
「おまえ、相手女のつもりで詠んだんだろ?。」
「ええ、そのつもりだったんですが・・・(汗)。え?ま、雅景中将殿・・・?。」
「わーっはっはっは!」
「笑いましたね、光(じろっ)。」

<イケメン貴公子☆雅景中将殿的解釈>
 秋の風が吹き流れる雲の切れ間から澄み切った月の光が射し込んで、ままか様のお邸の宴に集うきらびやかな衣裳を纏った、さながら天女が舞い降りたかのような美しい乙女たちに降りそそいでいる。今宵は月の宴、この麗しき貴婦人方を眺めながら、月を愛でつつ、さあ、我々も酒を酌み交わそうではありませんか、佐為殿

(ミニ佐為&光劇場的感想)
「やっぱ男だったみたいだな。」
「いいんですよ。私の歌だって男同士、麗しいご婦人方を眺めながら酒を酌み交わしましょうという意にも取れるんですから。」
「そっか、そうだな。ま、いっか。」




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