子羊亭和歌集

 巻二

 このお部屋には子羊の寝殿やお庭にて、皆さんが詠んで下さったお歌を集めさせて頂きました。
 歌とその意味や解説などは掲示板に皆さんが書き込まれたコメントから転載させて頂きました。その他、多少ままかが独断で付けた註や、補足的コメントなどが付加されてます。


雅景さん

 天翔ける 風の翼は 海の原 越えはばたけり 君が許へと


幽べるさん

  ―今夜は中秋の名月○。今宵のそちらの月に思いを馳せて一句―

  神さぶや 雲にかくろふ 伊勢の月

   ―幽べる 心の俳句―

意: くまなく月影を落とすはずの中秋の名月も、この伊勢の地では神の地に似つかわしく、神々しい姿を見せていることよ。雲間を見え隠れしてなかなかその姿を見せてくれないのだから。
 (ままか註:伊勢にご旅行中の雅景さんに贈られた俳句だそうです)


雅景さん

  神さびて 照り渡りたる 望月の 汝が門にこそは 影の至らめ

意: 伊勢の空に月は神々しく照り渡っている、この月の光があなた(幽べる師匠)の処にこそ届いていて欲しい、私が伊勢で見上げたこの同じ月を幽べる師匠も眺めていることを願って。
 (ままか註:↑の幽べるさんの俳句への返歌だそうです)


佐為ちゃん?

 −ままか殿に捧ぐ−
 我が命 永遠に留めし 君なれば また浅からぬ 縁ぞあるべき

意:「遠きえにしに」という作品に書き留める事によって、私に永遠の命を与えて下さった貴女との縁しもまた浅くはないに違いありません。敬愛する私のままか殿に感謝の想いを込めてこの歌を捧げます

きゃ〜〜〜〜(@@)!。
佐為様ですね。
どうしませう。おろおろ。即興で返歌とか詠めませんが嬉しいです〜。有難う!佐為ちゃん。これからもよろしくね。
光もいいけど、私もいいかと・・・はっ!。ナニ言ってるんでせうか、私ったら・・・。!(by ままか)


幽べるさん

 墨染めも 花の衣も いかにせん 何によそへん 君がにほひを

意:墨染めの出家姿も、還俗後の華やかな衣も、この方の内なる美しさの前ではどうというのだ。何にたとえたらいいのだろう、君の輝く美しさを。

(ミニ佐為&光劇場的解説)
「なぁ、佐為、これどういう意味よ?。」
「意味ですか?。これはですねぇ…。「遠きえにし」50話を読まれた幽べるさんが・・・その;。私の描写からですね…そのようにお感じになられたのだそうです。」
「解説じゃねーよ!意味聞いてんだよ!オレはっ。」
「いえ、だから…意味は上記の通りですってば。…つまり、私がその…(もご)……
美しい…、とまぁそういうことではないかと…;;;」
「なんだって?聞こえねぇ」
「だから…美しい…って」
「あ?」
美しいんです
「誰が?」
私が!
「おまえ、ホント可笑しいな」
光ゥ〜〜〜、からかいましたね〜〜っ
「わっやめろっ!いててて」

<はいはい、じゃぁ、幽べる先生の解説いきましょう>
「墨染め」は僧衣のこと、「花の衣」は在俗(ここでは還俗)の衣の象徴です。
「いかにせん」は「どうしよう」という意味で一般に疑問ですが、ここでは
「どうしようか、どうしようもない」「どうなるというのだ」といった反語で使って
みました。
「よそふ」は「なぞらえる」「たとえる」。
「にほひ」は「香り」という意味もありますが、古語では「艶々とした美しさ」
つまり視覚的な美を表わすことが多いのです。
特に掛詞などの技巧はありません。単語の解説のみで十分と思います。
というより、これは50話の佐為ちゃんの描写が何より「論より証拠」!


雅景さん

 網落の身を山懐に抱かれて詠める歌一首

  奥利根の 吹割の瀧 轟きて 流れ激しく 淵いや深む

意:奥利根にある吹割の瀧が轟々る片品川この流れの如く、私のあなたへの想いは激しく、その想いが積もってできた淵はいよいよ深まることだ。

<幽べる先生の解説>
前回の歌、淵より鞠が流れて来るとか頓珍漢な読みをしたことを思い出した…(^^;
はさておき、前回の歌に描かれた情景を今度は詞書に据えてますね。それを背景に、淵から流れて来た思いが、今回の歌においては「轟き」「激しく」そのために淵は「さらに深まって行く」、とダイナミックな動きを与えられています。「静かなる…沢の音」→「流れ激しく」と、静寂の世界から奔流の世界へと変化し、前作をもとにさらに生き生きとした描写です。

そして「淵いや深む」とは、「あなたへの思いが否が応でも深まる」という意味では?情景と同時に感情も激しさを増していく比喩がまた巧みです。情熱的です(*^^*)。
とするとこの第四句は、「流れ激しく」のままの方がいいですね。

この歌の更なる本歌からたどってみると、
「(恋ぞ積もりて)淵となりぬる」→「淵より流る」→「淵いや深む」この一連の最終句はまさに連作ではありませんか!!


雅景さん

  「寿を上る」(じゅをたてまつる)

才 光る 遠きえにしの ありて知る 君に祈らむ 栄えあれとぞ

                  
(ミニ佐為&光劇場的解説)
「なぁ、佐為、これどういう歌だよ?」
「これはきっと、雅景殿がままかさんへお誕生日のお祝いのお歌をお詠みになったのでしょう」
「なんでわかるんだ?」
「寿を上る、っていうのはそういう意味です」
「へー。でも何気にこれオレ達の名前入ってねぇ?」
「うん、心憎いことをなさいますね。さすが雅景中将殿。きっとままかさんのお名前も入っているんじゃないでしょうか?」
「へー、すげぇ。そうなんだ。でも何処にままかって?」
「光、平安の頃は女性の本名をおもてに出すのはタブーなんですよ、しぃ〜!」
「じゃぁ、みんなHNで呼び合ってたってわけ?」
「ま、現代風に言うとそういうことです」

 佐為と光と「えにし」と実は私の名前まで入れて詠んで下さったお歌です。頂いたときは感動〜〜しました。だって誕生日に歌頂いたのなんて初めてだもん♪ 個人的に頂いたお歌ですが、お許しを頂いて掲載させて頂きました。ありがとうございました(ままか)。

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