想い初め

 

 

 ・・・・・。
 ・・・・・何。
 ・・・・ナ・・・・ニ?
 ・・・・佐為・・・?
 力が入らないよ・・・。
 それより、熱い。
 体の芯が焼けるみたい・・だ・・・。
 そして・・・、溶けてくみたいだ・・・。
 ・・・どうしていいか・・・。
 ・・わ・・から・・ない・・よ?・・・・佐為?
 

 光はさっきまで佐為を膝に抱いていた。彼の寂しさを自分にも預けて欲しいと思った。今はもういないという、その女人が出来たのなら、自分にも出来るはずだった。どうしてそう思ったのだろう。
 佐為はオレが子どもだから、幼いから、自分の気持ちなど解らないと言った。確かにその通りだった。何も解ってなかった。でもそれが悲しかった。何よりも悲しかった。
 何故なら、初めて目にする佐為の涙をその女が既に知っているなら、そのことが悔しかったから。哀れにも既に命を絶ってしまった女に憎しみを覚えてしまったから。佐為の涙を独占したのが許せない。佐為の子まで宿したというその女が許せなかった。光の心が焼けた。
 でもそれだけではなかった。焼けると同時に光の胸は深々と痛んだのである。その痛みは佐為を想ってだった。佐為の心に傷があるなら、それが痛むなら、それは光には耐え難い苦痛だった。
 佐為が言う通り、この少年は本当に優しかったのである。自己中心で短慮なのは若さゆえの未熟さだ。それを差し引いても光は優しいと佐為は思っていた。そんな光だから、佐為を癒してやりたいと思った。彼に悲しい思いをさせたくなかった。
 そんな想いが伝わらぬはずはなく、だから佐為は光の愛撫に泣かずにはいられなかったのである。


 しかし、光は生まれて初めて味わう感覚に身も心も渾然と交じり合って、陶酔のうちに溶けていくような感覚に襲われた。
 佐為は光の膝に頭を乗せながら、光の後頭部を優しく撫でていた。行ったり来たりする手がなんて優しい動きをするんだろう。でももっと強い恍惚は佐為の唇の感触だった。

 それは暖かくて、濡れていて、・・・・凄く柔らかくて・・・。いい香りがして。

 光の唇に軽く押し当てられては、微かに離れ、また触れる。
 何度、繰り返されたんだろう。何時の間にか瞼を閉じていた。
 もう意識はとうに何処かへ行ってしまっている。
 気付くと、自分の方が佐為の下になっていた。
 でも重くない。佐為は光を横たえると、自分で身を支えて光には軽く触れるだけだった。
 佐為の繊細で長い指先が光の髪に触れて、優しく撫でる。
 あれ・・?髪を撫でていたのはオレじゃなかったっけ・・・?
 顎にまた佐為の指先。さらさらした髪の毛が頬を掠める。
 耳元に佐為の吐息。それから、佐為の声・・・。
「光・・・。少し・・唇を開けて」
 呪文に掛かったように言われた通りにすると、佐為の濡れて温かな舌が忍び込む。
 今度はさらに強い恍惚と喜悦に身が痺れる。
 しっとり濡れた佐為の舌先が口内を彷徨い、何度も光の舌を絡めとってはまた唇を吸った・・・。それはまだ青葉のように若い光が初めて知る官能だった。
 もう限界だよ・・・?体の芯が疼くんだ。
 浮いてるみたいなんだ。
 おかしくなりそう・・・だよ。
 ・・・・佐為?
 
「光・・・」
 佐為の唇が耳たぶを吸った。舌が頬を這った。
 ああ。佐為、佐為、佐為。




「・・・・・・・・・・・・・・!!!」

 しかし、そのとき光は突然醒めざるをえなかった。溶けていくような陶酔から。そして、次の瞬間、残酷にも佐為を突き飛ばしていた。

「光っ!?」



 無我夢中でその場から逃れた。
 バシャンと几帳が倒れる音がした。
「光!!」
 佐為の悲痛な叫び声が耳に入ったような気がした。・・・でも振り返らなかった。振り返れなかった。
 光は妻戸を押し開け、ひたすら走って、佐為の屋敷までいつも乗ってくる馬に飛び乗ると、急かして逃げるように佐為の家から飛び出していった。






「・・・・・・光・・」
 取り残された佐為は乱れた髪もそのままに、畳の上に腕を突明かりいて半身を起こし、つい先ほどまでの幸福の余韻から抜け切れないまま、光の去っていった簀の子の方をただ漠と見つめていた。






 光は馬を蹴って蹴りまくった・・・。やっと深秋の夜風が熱湯のように熱くなった身を冷やしてくれた。
 熱が去って、自分の体の、まだ初々しい性がやっと萎えたのを確認すると、馬を止めて、光はさめざめと泣いた。


 佐為・・・・・・。

・・・オレ、どうしよう?・・・。

 どうしようって、何を?

 そんなの分からない・・・・! 

 佐為、何するんだよ、おまえ。おまえがあんなことするなんて、オレに。何・・・するんだよ。わかんねえよ、オレ。
 それとも佐為・・・。死んだ恋人の身代わりだったのか?だからオレに接吻したのか・・・? そうなのか?

 オレを恋人だと思って。それであんなふうに・・・・、熱く、優しく・・・口付けたんだろうか?オレが恋人と同じように膝枕をして髪を撫でたから・・・? だから、オレを恋人の代わりに愛撫したのか? わからねえよ!オレ・・・。

 なのに・・・。

 それなのに・・・。オレ。

 オレ、馬鹿じゃねーか。

 おまえの寂しさを受け止めて、包もうなんて思ったくせに、

 笑っちゃうよ。

 その前に・・。自分が壊れちゃう・・なんて。

 こんなに・・。

 こんなに・・・・・。やっぱガキだ、オレ。

 いくら背伸びしたって・・・・ガキじゃねーか。呆れちゃうよ。

 ・・・・佐為。

 ああ、どうしよう・・・。

 だって、だって・・・・!オレはおかしくなっちゃったんだよ。
 佐為に触れられて、それで・・・、知らない間に、体が耐えられなくなった・・・なんて。そんなの・・・。知られたくない。だから・・、おまえを突き飛ばしちゃったんだ。
 ごめん、佐為。本当はもっと佐為にああされていたかったのに。

 オレ、汚いやつだ。


 ああ。それなのに。・・・それなのに。

 今、分かったんだ。今・・・・。やっと、気付いたんだ。・・・・何に?

 自分の気持ちだよ。そうだよ。



 だって・・・・・・・・・・・オレ、佐為のことが好きだ。

 星も月も雲に隠れて真っ暗な闇に、少年の青い慟哭が響いた。

 


 光は自分の家に帰って、褥に横になってからも声を殺して泣いた。しまいには、耐えられないといった風に、手足をじたばたさせて暴れた。
 褥の敷いてある畳を思いっきり叩いた。しまいには手に血が滲んだ。もう出尽くして出ないだろうと思った涙も、不思議と泉のように溢れ出て止まらない。
 どうして、こんな理不尽な苦しみにもがかねばならないのだろう。
 どうして、こんな手も足も枷が嵌められたように、身動きが取れぬのだろう。
 切なくて、切なくて、切なくて。
 悲しくなるほど愛しい。愛しければ愛しいほど、悲しい。
 何故なら・・・。

 これが恋だった。

 そう。これが恋だった。
 哀れにも光はこの夜、初めて恋してる自分に気がついたのである。

 光はのたうち回って散々もがいた挙句に、結局最後には観念した。光は答えを出すのがいつも早かった。早いか遅いかは、どこで意を決するかの違いだ。
 彼は佐為のことを想って自慰をした。意を決したにも拘わらず、佐為をけがしてるような気がして、罪悪感に苛まれながら。それでも止められなかった。それでもそれはやっぱり光が行き着いた結論だったから。
 そして熱を吐き出してから疲れ果てた体が、やっと眠りに落ちることを許してくれたのだった。




 次の朝、うっすらと明かりの差し込む遣り戸の外から、しのつく雨の音が聞こえた。光は寝坊をしたことに気がつき、飛び起きた。あまりの精神的疲労にぐっすり寝入ってしまったのである。
 慌てて身支度を整えると、朝餉も取らずに家を出ようとした。
 いつも佐為と朝飯(あさいい)を食べている。もう毎日の習慣だった。

 考えてみれば、佐為が何の血縁も無く、歳の離れた光を喜んで屋敷に上げ、朝夕の食事まで施し、見るからに可愛がっているのは、まったく奇妙な馴れ合いに見えた。
 誰しもそうかもしれないが、佐為も無意識のうちに心の深層で魂の伴侶を求めていたのだろうか。でもそれは当然のことながら、決して誰でも良い訳ではなかった。
 孤独だった佐為がたまたま出会った少年は明るく天心爛漫でやんちゃだった。もともと子供らしい子供が佐為は好きだった。自分がそうでは無かったから。しかも光には碁の才能があることを佐為は直に見抜いた。光を弟子とも弟とも、はたまた我が子のようにも扱った。膝枕などしなくても既にこの少年は彼の寂しさを幾ばくかは埋めていたのである。当の光は気付いてなかったが。
 思い出の中の感傷は時にトラウマを増幅する。佐為の傷口に触れたのが光なら、塩を塗ったのは佐為自身だったかもしれない。

 光は馬の準備をしながら、次第に頭が冴えてきて、焦った。 昨日の夜のことがまざまざと頭に浮かんだ。
 自分は、佐為に何も言わずに彼の屋敷から逃げ出したのだ。 いまから、どんな顔をして彼に会えばいいのだろう。
 しかし、躊躇ってもらちは明かない。 こうした時も、光は潔い。彼は、意を決して自分に与えられた務めを果たすべく、冷たい秋雨の降りしきる中、佐為の屋敷へと向かったのである。




 佐為は独り、冷たい雨に濡れる簀の子に出て、柱にもたれていた。空気が冷たかった。佐為は狩衣の上にもう一枚衣を肩に打ちかけていた。しんしんと降る雨粒は簀の子の板敷きを半分以上も濡らしている。雨の日以外はいつもこの簀の子で光を迎えていた。しかし、普段なら、もうとうに来ているはずの光が今日はまだ来ない。佐為の衣の端は濡れていた。それでも佐為は屋内に入ることができなかった。
 昨日のようなことがあった後に果たしてあの子はまたここへやって来るだろうか? しかも間が悪いことに、今日は冷たい雨が降りしきっている。

 もう、来ないのかもしれない・・・。

 佐為は静かにそう思った。それでも佐為はまだ簀の子に居た。
 昨晩、光が自分の腕(かいな)から逃げ出してしまった時から、佐為はずっと呆けたように、何かしようとしても手につかず、仕方ないので、薄明かりの下、一晩中打ち碁を並べていた。盤面に向かう時だけは、いかなるものにも大概は心を乱すことが無かったから。だが、明け方の雨音はさすがに佐為の心を沈めずにはいなかった。
 ふと傍にあった竜笛を手に取る。
 深い音色が暗い灰色の濡れた風景の中に響いた。



 光は、佐為の屋敷に着くと、雨音に混ざる竜笛の音に気付いた。
 門の前で彼は深呼吸をした。
 昨日のことは忘れろ。忘れろ。と自分に呪文を掛けてみたりもする。

 しばらく呼吸を整えると、若い瞳に力を込め、いつものように、庭を通って簀の子へ回りこんでいった。
 次第に竜笛の音色が大きくなる。悲しいような、秋の雨空に溶け込んでいくような、深い音色だった。

 佐為が視界に入った。
 竜笛を吹くその姿は妖艶だった。
 やっぱり、綺麗な人だ、と光は切なくなる。
 なぜなら、どんよりした灰色の雨のとばりの中、そこだけが雅な白光を纏っているようだから。

 光の気配に気が付いたのか、笛の音が止まり、佐為がこちらに視線を向ける。すると彼は、笛を投げやり、瞳を見開いてすっくと立ち上がった。

「光!なんてことだ。早くこちらに来なさい!ずぶ濡れではありませんか!」
 佐為は簀の子の上から、ただ事ではないという風に光を見下ろすと、濡れるのも意に介さず、階(きざはし)を半分まで降りて、狩衣の袖を抑えながら、光に手を差し伸べた。

「さあ、突っ立ってないで、こちらにおいで、光」

「うん」
 光は浅靴を脱いで手に持つと、佐為の手に応えて簀の子から降りる階(きざはし)を上っていった。
 佐為の手はひんやりしていたが、光の手はもっと冷たかった。

「可哀相にこんなに濡れてしまって」
 佐為は自分が打ちかけていた衣をふわりと光にかぶせてやった。
 そして、妻戸を開けて母屋に冷えた光を招きいれ、女房を呼ぶと光の着替えを手伝わせた。もう光の衣もいくつかは佐為の屋敷に置くようになっていたのだ。

 光は気が抜けた。自分の昨晩から今朝にかけての悶絶はなんだったのだろうと思った。なんだか、佐為はいつもの調子と変わらない。そう思うとむしょうに腹が立った。

「こんな雨の日にも、お勤めご苦労様」
 『お勤めご苦労様』・・・毎朝、この言葉で佐為は自分を迎える・・・。なのに、今日は、「お勤め」という言葉がうっとうしく、苛立たしい。

「・・・もう朝餉は食べましたか?」

「・・・ううん」


「では、いっしょに食べましょう。光を待っていたら、お腹が空きましたよ」
 佐為が笑う。なんなんだろう、こいつは。
 
 考えてみれば、光は昨日の晩から何も口にしていなかったのである。光は急に腹が減って腹の底からぐうと鳴るのを感じた。佐為は楽しそうにそれをからかう。二人は今日は母屋の板敷きに畳を敷いて几帳と屏風を立て、そこで食事を取った。光は硬い飯は苦手だったが、もぐもぐとかんであっという間に平らげてしまった。一緒に朝餉を取る間もいつものように軽口を叩きあい、笑いあった

 昨日のことは夢だったのだろうか?だが、いつも通りの空気はとても心地良かった。そして安堵した。こうして佐為と一緒に居ることが幸せだったから。ただ一つだけ違うのは、佐為の顔を見て光の心は少しだけ切なくなることだった。

 それから二人は盤を囲んだ。
 
 光はさらに安堵した。何にといえば、佐為の尋常ではない強さにである。どうにも越えられない絶対的な棋力。光をあんなに動揺させた昨晩の出来事もこの棋聖が盤面に向かうに当たっては、やはり何の影響も及ぼさぬのだろう。
 いつか、おまえに勝ってやる・・・・。一度も勝てないおまえに・・・。
 佐為相手に随分と不遜な野望だったが・・・・。
 佐為は光の前に高く高くそびえる孤高の頂である。
 打つとその頂の高さに圧倒される。
 遥かなる高み・・・。
 自分を凌駕するその絶対的な強さ。
 その圧倒的存在の大きさは光を底知れず安堵させる。
 まるで方角を失った小船が大海の彼方に目指すべき港を見つけたかのように。

「光・・・」

「ん?」

「よく・・・、よく来てくれましたね」

「え?」

「今朝ほどはもう、来ないのではないかと思って、気が沈みました」

 心臓がどくりと鳴った。
 なんでもない日常に戻った光に、突如また、昨晩の目眩と陶酔、慟哭と悶絶の記憶が蘇った。体が小刻みに震えた。
 気が沈んだ・・・だって?

「・・・・・・・・おまえが?」

「もう、来ないのではないかと思って、あなたが来るまで何も手につきませんでした」

 うそだ。いつもと変わらないくせに、佐為! 
 鼓動が早まった。
 オレがどんな想いをしたと思ってるんだよ!
 光は怒りとも悔しさとも切なさとも知れぬ複雑な思いに駆られた。そして意地悪くこう言った。
「・・・・・・・・笛、吹いてたじゃん」

 しかし、佐為はそれには答えず、静かに語りだした。
「もう、昨日のようなことは・・・・・・」

 ドクン。
 光の鼓動がまた高鳴った。手が震えた。頬が熱くなった。

「・・・・二度としません」

 今度は光の胸が錐を立てられたように痛んだ。

「光・・・・、私を許してくれますか?」

・・・・・・・・・・・・・・・・なんだよ、それ。

痛い・・・。

泣きたい・・・。

ダメだ。こらえろよ。

悲しくて・・・、切なくて・・・、身が切られるようで・・・・・・・。
言葉が出てこない。光はただ俯いていた。

「・・・・・・・」

「あなたの優しさに甘えすぎた私が愚かでした」

「・・・・・・・」

「嫌な想いをさせてしまいましたね。心からあなたに詫びたい。どうか許して欲しい」

 佐為は、悲しく懇願するような目をして、そして真摯な声でそう言った。

 光はただ黙って俯いていた。拳を握りしめていた。
 許しを請う佐為の言葉がとても痛かったから。すごく痛かったから。涙をこらえることができなかった。光はさめざめと泣いた。涙が一粒二粒、そして止め処なく頬を伝って、拳を濡らした。
 佐為は扇を口元に当て、哀しい目で光のそんな様子を見つめていた。



 だが、そうして光はやっと見つけた言葉を涙で震える声で搾り出した。
「・・・許さなきゃいけないことなんて・・・・何もしてないよ、佐為は。

うう・・う。ひっく・・うううう」

 光の涙は、昨日別れてから、今朝再会するまでの間の光の過ごした時間をほのめかしていた。正しく伝わったか否かは置いておくにしても・・・・。自分の行為が少なからず、少年に動揺を与えたのは佐為の目にも明らかだった。
 佐為はたまらず、光を抱きしめた。今日は、親が子にするようにだった。光は佐為の胸で泣いた。
 「ごめんね、光。ごめんね」

 光はこうやって暫く佐為に抱かれていた。それでも幸せだった。佐為の温もりと香の芳しさに包まれて。昨日のような狂おしい口付けでなくても、佐為に抱かれ、彼を肌で感じるのは幸せだった。


 そうして、また、二人は続きを打ちはじめる。
「続けましょうか」という佐為の言葉が合図となって。
 終局後、佐為は丁寧に検討をしてくれた。

 オレ・・・強くなってるかな?佐為。早く、おまえくらい強くなりたい。強くなりたいんだ。オレ。

 ずっと、ずっと、ずっと。いつまでも、いつまでも佐為と同じ道を歩みたい。だから。
 だから、強くなりたいんだ。もっともっともっと。

 だってそしたら・・・。オレがおまえくらい強くなったら、オレ、おまえの相手になるだろう?
 おまえと一緒に神の一手を目指す相手に。おまえが捜し求めてる、神の一手を共に極める相手に・・・。
 なれるだろう?
 そうだろう?

 見つけた。オレの航海しゆく先の港を。オレの登り行く先にある峰を。

 オレ、行くよ。何処までも。おまえと同じ道を。おまえを追って。

 だから、お願いだ。力を貸して、佐為。

心の中で光はそう佐為に呼びかけていた。 

 

   つづく

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