我が君四


 光は空を見ていた。遠くまで続く空を。
 この朝焼けに燃える空の下の何処かにかの人が居るなら、足元にはしっかりと自分を支える大地がある。足掛かりがある。海上であってもその確信は変わらなかった。

 光は伊予から都の荘園主に向けて農作物を載せてきた船の復路に乗せてもらう交渉を済ませた。直接九州へ向かう船が無かったので、とりあえず、伊予まで行き、あとはまたそこで西へ向かう船を探そうと考えたのだった。
 都へ運ばれる積荷が降ろされて空になった船倉は船室となり、光を乗せて船は伊予へ向けて出航した。
 この船には船頭の他に水夫が何人か居た。船頭、水夫といっても伊予の国の荘園の農民で、農産物を都に運ぶ時だけは船も操るのである。瀬戸内の潮流の難所に詳しいのは海賊とそう変わらないが、やはり航海技術や船そのものに関しては、一年中船を操る海賊や彼らのもっと大振りな船の方が数段勝っていた。
 水夫の他には四人の旅の連れ合いが居た。光のように交渉して船代を払い、伊予へ渡ろうとしている女と子どもの一行だった。乗船して間もなく光はこの四人連れと言葉を交わした。四人連れは大人の女が二人。子どもが二人。大人の女は子ども達の乳母と侍女で、子ども達は十歳の少女、それに八歳の童子の姉弟だった。
 乳母だという女が言うには、子ども達の父上は伊予国(いよのくに)の役人で、子ども達の母上は二月前に都で亡くなったのだという。四十九日も済んだので、母上を失った少女たちを伊予の父上の許へ送り届けるらしい。
 少女は未だ裳着前のほんの子どもで少年も愛くるしい。質素な身なりな割には、子ども達にはどこと無く育ちのよさが感じられる。
 光は子ども達に話し掛けた。
「船は初めてか?」
「うん、そうだよ」
 少年が答えた。
「いい眺めだろう」
「うん、でも少し気持ちが悪い」
 少年は蒼ざめた顔をしている。船酔いは光にも嫌というほど経験がある。不思議なことに今回は平気だった。光は子ども達の気を紛らわそうと思って言った。
「キミは碁を打てる?」
「碁? うん打てるよ、もちろん。都の家では姉上とよく打ってた。でも母上が一番強いんだ」
「そうか、じゃぁ碁を打とう」
「え? どうやって」
 碁盤などあろうはずのない船の上で一体どうやって碁を打つのかと童子は不思議そうな顔をした。
 すると光は得意げな顔をして言った。 
「じゃーん、ほら碁盤と碁石だ」
 光が荷物の中から取り出したのは、麻で出来た一尺五寸四方の布だった。しかし、そこにはきちんと十九路の線が引かれている。二つの巾着袋に入った石はかなり小さく、数も少ないように童子は思った。
「これは貴重なんだ。唐土の法師様から借りてるものなんだよ」
「へぇ、こんな碁盤見たことないよ」
 童子は目を丸くして言った。
「法師様は一つの場所にあまり留まっていない方だからさ、こういう持ち運べる碁盤が必要なんだよ」
 そう説明すると、光は童子相手に碁を打った。八歳といえば天童丸殿と同じくらいだなと一人ごちる。しかし、童子は天童丸よりも随分と下手だった。天童丸は佐為が教えていたのだ。それも当然だと光は心で頷いた。
 光にとっては全くの指導碁だったが、童子にとっては光の人懐こさと明るさも加わって、非常に楽しい時間となった。間もなく、少女も一緒に打ち碁に加わった。
(あに)さんは碁が強いんだね」
「うん、まぁな」
(あに)さんは何をしている人?」
 そう訊かれると、以前は「検非違使」と答えていたので、光は答えにつまった。しかし童子にこう言った。
「オレは・・・そうだな、碁打ちだよ」
「碁打ち?」
「そう。それ以外の何者でもない」
 幼い姉弟は、すっかり光になつき、子ども達の明るい笑顔に光の心も和んだ。
 ところがその夜のことだった。凪いだ海上にゆるりと揺れる船倉は湿気で息がつまり、寝苦しかった。光はふと目覚めると、童子のすすり泣く声を聞いた。狭い船倉を樽を並べて仕切っただけである。樽の向こう側に女子どもの一行は寝ていた。乳母が「若や、若や」と声を掛け、背をさすっているらしいのが分かる。初めは泣いているのは童子だけだったが、そのうちに姉の方も泣き出した。二人は口々に「母様」と言って泣いた。
 二月前に母君が亡くなったばかりだと乳母が語ったことを思い出す。光は堪らなくなり、そっと起き上がると狭い船倉を退け出して甲板に出た。
 甲板には舵取りをする水夫が居た。光は船尾に座り、夜空を仰いだ。
 そして胸元に手をやった。そこには銅銭の入った袋と共に、砂金の入った袋が用心深く仕舞ってあった。銅銭は光が自分で用意したものだったが、砂金は佐為に手渡されたものだった。あの別れの夜、佐為はこれを用意してきていた。「こんなことになるような気がしていた」と彼は言ったものだった。そして「何かの足しにはなっても邪魔にはならぬでしょう」そう言って砂金の袋を渡されたのである。完全に見抜かれていたことを光は知った。
 ただその時光はほぼ反射的にこう言ったのだった。
「いらないよ」
 しかし佐為は有無を言わせぬ威圧的な強い口調で言い返した。
「私が渡すものを拒むことなど許さない」
 そもそも彼の好意を何一つ拒むつもりなど無かった。砂金は彼の愛情の形の一つであり、彼の抱擁の一つに他ならないのである。光は心を込めて礼を言い、佐為はどこまでもその精神において自分に従順である光を抱きしめたのだった。
 前回筑紫に下った時もそうだったように、都から遠ざかる船の上では一層強く佐為の姿は光の胸に浮かび上がった。こうして星辰を眺めながらも、佐為の深い眼差しを浴び、耳には彼の心地よく低い声を聴くのである。
 それからおもむろにまた麻布の碁盤を甲板に広げた。そして盤の大きさに対して非常に小さく不ぞろいな石を光は置いていった。それはあの別れの夜に最後に彼と打った碁だった。
 あの夜、佐為に抱きしめられたまま、光はいつまでもそうされていたいと思った。しかし自分から離れぬ限り、佐為は永遠に自分を抱きしめているのではないかという気がした。それで光は最後に対局することを請うたのである。そしてあっという間に光が負けた碁だった。何百局、あるいは何千局、彼と打ったかしれない。が、今に至るまで遂に一回も勝ったことが無かった。
 彼にあっさりなぎ倒されると、光は再び旅立ちの闘志とでもいうものが自分の体の内側にふつふつと沸き起こってくるのを感じた。不思議と歓ばしい気持ちで胸が満たされた。この彼の強さが、自分に力を与えるのだ。そのことに光は今更ながら気付かされるのだった。
 何日か船旅は続いた。伊予が近づくにつれ、島が多くなっていく。前回、筑紫に護送される時にも通った島の多い海域は懐かしかった。島が多いだけに潮の流れも複雑で、ここは難所なのだと教えられた。朝焼けや夕焼けに光る波と島々の濃淡のシルエットが美しく、さらに島々の上に広がる空の景色にはやはり今も頬が濡れるのだった。光は瀬戸内の海の中でもこの島々の情景が一番好きだと思った。
 ある朝歌を詠んだ。
 波鳴らす あかつきがたの あまつそら 見せまほしきは 我が君にこそ

 清々しい気持ちで迎えたこの日、しかし困ったことが起きた。自分たちの船よりも大きな一艘の船が近づいてきたのだ。
 行く手を半ば高圧的に塞いでいる。光の乗った船は止まるより他ない。
 光は嫌な予感がした。
 相手の船からは商人風の水干を着、こざっぱりした男が乗り込んできて、全員の行く先を尋ねた。
 船頭達は、荘園のある新居郡(にいのこおり)だと答えた。光は少し思案したが、船頭達と同じように新居郡だと答えた。女子ども達の番になった。乳母は国府のある今治(いまばり)に行くと正直に答えた。この時、光にはさらに嫌な予感がよぎった。
 すると商人風の男は物腰やわらかく「新居郡(にいのこおり)から今治まで徒歩の旅になろう。我らの船は筑紫まで帰る商船だ。今治なら途中だから、乗せていってもいいが」と言って船代を告げてきた。乳母は「これは丁度いい。徒歩でこの幼い人たちを行かせるのは不憫と思っていた」とありがたがり、早々に支度を整え、相手の船に乗り込もうとした。商船も少しでも旅人を乗せれば船代を稼げるということだ。
 これを黙って聴いていた光だったが、どうも胸騒ぎがする。筑紫へ帰る船なら光にとってこそ好都合な訳だが、どうもこの船に乗る気にはなれなかった。しかし、女達は行こうとしている。光は焦燥に駆られ、しばしの逡巡のうちに口を開いた。
「待ってくれ。筑紫に行くと言ったな。ならオレも好都合だ。オレも乗せてくれないか」
 すると、愛想のいい物腰やわらかな男の顔つきが少し変わった。
「そこのお若いのは、さっきは新居と言っていたではないか」
「新居からまた船を乗り継ごうと思っていただけだ。筑紫までの船代はいくらだ。オレも乗せてくれ」
 すると、もう大きい船に乗り込もうとしていた少年が振り向いて言った。
「本当だよ。兄さんは、筑紫に行くんだ。兄さんもこっちの船に乗ろう」
 少年は笑顔だった。光と一緒の旅を今しばらく続けたい一心なのが伝わる。しかし、依然商船の男は光の乗船の交渉になかなか応じず、「すこし待たれよ。乗員には限りがあるから船頭に相談してくる」と言う。
 光の腹はこれを聞くと決まった。素早い動作で船倉に潜り、自分の荷物をまとめると、甲板に戻った。すると、もう女子どもは全員相手の船に乗り込んでしまっている。まさに、船と船は離れようとしていた。やはり、光を乗せる気は初めから無いらしい。光は船と船の隙間がまだほんの二、三尺程度なのを見て、向こうの船に飛び乗った。
「何だ! おまえは!」
 さっきの男が叫んだ。光は黙って甲板に仁王立ちしていた。新居郡(にいのこおり)の荘園へ帰る船は見る見るうちに離れていく。船頭たちもぴんと来たのだろう。面倒に巻き込まれぬうちに一目散に逃げていくように光の目には映った。
 光は言った。
「一人くらい増えたってこの船だったら、大丈夫だろう。運賃は払う。いくらだ。オレはあの人たちの護衛だ」
「護衛? そんな作り話が通用するか」
 男は先程の柔和な様子とは一変し、酷く柄の悪いしゃべり方をした。
「いや、オレはそのつもりだった。女と子どもだけではいかにも心配だ。それにこの辺は海賊のよく潜んでいる領域・・・・いや、それともこの船が海賊船という訳じゃないだろうな?」
 光は男を真っ直ぐに見据えて言った。
 すると男は高笑いをして答えた。
「海賊船!? この船がもしおまえさんが言う通り海賊船だとしたら、おまえさんは随分ご大層な度胸の持ち主か、それじゃなかったら、大馬鹿野郎のどちらかじゃねぇか。大人しく、女と子どもを差し出してりゃ、おまえさんは痛くも痒くもなかろうによ」
 それを聞いて、甲板に居た女子ども達の顔は蒼白になり、四人とも震え出した。
 やはり勘の通りだった。抵抗したところで、手荒な真似をしてこの人たちをさらって行ったに違いない。この海域を頻繁に脅かしていた海賊船に近づかれてしまったのだった。島々の多いこの海域は、海賊の潜む場所としても知られている。前回は行きも帰りも朝廷の護送船だった。今回は農産物の輸送船で、船頭と水夫は農民である。
 海賊の目当ては京へ上る船であれば、荘園から荘園領主の貴族に送られる農産物や海産物だったが、荘園に帰る船に対しては、金品を目当てにしていた。通行料と称していくらかの銭を巻き上げるのだ。
 そしてそれだけならまだ良いのだが、彼らは光たちに銭は要求せず、女と子どもだけを連れて行こうとした。この場合の海賊達の目的は人身そのものか、あるいはその売買に違いない。海上での横領の程度には差があったが、最も悪党になると人身をも生業の種にする者達が居ることを光は筑紫に居た時代によく知っていた。そして案の定、男は他の者にこう命じた。
「おい、女と子どもを縛って船底に連れていけ!」
 人相の悪い大柄で日焼けした男達が甲板には数人立っていたが、何人かが脅える女たちを縛り始めた。少年と少女は不安と恐怖でガタガタと震えている。
 光は口惜しかった。自分が未だ検非違使であったら、堂々と略奪者達を懲らしめることが出来るのに。そう思ったが、光は今や検非違使ではなかった。筑紫に居た頃は彼らを追っていたというのに、携えてきた武器といえば短剣一つだけだったし、たとえ大振りな太刀を持っていたとしても、たった一人では勝ち目は無い。だが、どうしても子ども達と乳母らをそのまま悪党達の生贄にして、自分だけ逃れる気にはなれなかった。心底困ったことになったと光は思った。しばし考えたのちに光は叫んだ。
「待て! 手荒な真似はするな。その人たちは、母君を失った子ども達を父上の所に送り届けるところなんだ。オレは交渉がしたい。その人たちの身代金を払おう。悪い話じゃないはずだ。落ち着いて交渉しよう。だから、この人たちを今すぐ、伊予国のどこでもいいから岸に付けて降ろしてやって欲しい」
 光はそう言った。そう言いながら、そんな取引をせずとも海賊はこの人達を捕らえたまま、自分の身ぐるみをも剥がすことなど何でもないだろうと考えた。もし相手が本当に極悪人だとしたら、自分の言っていることが通用するとは思えない。だが海賊といっても通行料をもっぱら目的にしていたり、その方法が乱暴であり著しく暴利を貪っているという点でやっかいなだけな「商人」ということも出来なくないことを必死に念頭に置き、分が悪くなければ案外交渉は成立するかもしれないと考えた。そして努めて冷静になるよう息を整えると、光は穏やかな声で話し始めた。
「おまえたちの利益になる商談をしよう」
 そうは切り出したが、どうしたら海賊達が、女子どもを解放することに納得するか考えはまとまらなかった。完璧に自分は敵の掌中に在り、船上では逃げ場も無く、どうされようと海賊の自由なのだ。すると男は言った。
「商談? おまえは本当に馬鹿か? 一体何が目的だ? それともあの女と子どもはおまえの身内って訳か?」
「いや、違う。身内ではない」
「じゃぁ、何だ? 邪魔をしやがって。おまえなどいらねぇ。今からでも海に叩き落としてやろうか」
 光は思案した。思案したところでいい案はやはり浮かばなかったが、口から出任せに思いつくまま話し始めた。
「分かった。本当のことを言う。実はオレは検非違使だ。あの子ども達は、伊予国守(いよのくにのかみ)様の姫君とご子息なんだ。母上は都に居られたが、二月前に亡くなられた。オレは姫君たちを無事に伊予へ送り届けるよう密命を預かっている」
 海賊は笑い始めた。
「ほほぉ、それはご大層なこった。おまえが検非違使だと」
 海賊は根っから信じず、高笑いしたが、ここでただただ震え上がっていた乳母の顔色にぱっと光が差し、声を上げた。
「まさか! 何故、それを・・・あなた様が! ああ、旦那様は私達をちゃんと護ってくださっておいでだったのですね」
 信じられないことに乳母はそう言った。
「若様、姫様! 伊予守の父上様はあのお若い検非違使様を私達に差し向けてくださっていた・・! どうも初めから、頼りになるお方とお見受けしておりました。ええ、そうですとも! ただの碁打ちだなどとおっしゃったのは、こういうご事情だったのですね。北の方様に遠慮して、このようにやつして旅する我らを、父上様は気遣ってくださってましたぞ。お聞きになりましたか」
 ・・・・・・え?     
 光は絶句した。「まさか」は自分の台詞だ。苦し紛れに口から出任せに言った言葉のはずだった。父君は伊予国の役人・・・とは聴いていたが、子ども達の父君は自分のはったりの通り、本当に伊予国守・・・上国の国守だっていうのか。
 ならばままよ! と光は開き直った。
「国守様の姫君と若君をさらったとあっては、伊予の国司は黙っちゃいない。オレはさっきまで乗っていた船の船頭に国府に知らせるように言ってある。大宰府にも援護を頼み、追っ手はこの船を必ずや捕らえるだろう」
 乳母と光の言葉を聞いて海賊は少し考えた風だった。
「では、都の貴族の姫君と若君だという証拠を見せろ」
 そう言われても、乳母たちは困ってしまった。伊予国守の落胤とはいっても、母親の許へ父君の足は途絶え、暮らしはそういいものでは無かったのかもしれない。よくあることだと光は思った。そしてこの時、光はふとひらめいた。懐から、佐為に手渡された砂金の袋を取り出して見せたのである。
「見ろ、この紋を。都の藤原家の家紋、姫君と若君の母君の氏の紋だ。中に砂金が入っている。これで伊予までの通行料を払おう。穏便に済ませたいのなら、早く岸へ向かうがいい」
 これを聞くと、船の男達は目の色を変え、光からひったくるように砂金の袋を奪うと、中を確かめた。掌に収まる小さい巾着袋だが、正絹に金糸銀糸の刺繍が入った美しいもので、中には確かに黄金に輝く砂金が入っている。
 男達はよだれを垂らさんばかりに、目を見張って袋の中を覗きこみ、「おぉっ」と飢えた呻き声を上げた。しばし女子どものことも光のことも放って、男達は砂金の袋を奪い合って色めき立っている。その時だった。何処からか、男達を一喝するような迫力のある低い野太い声が響いた。
「もういい! さっさと岸へ向かえ!」
 声の方を見ると、そこには何時の間にか、真黒な濃い髭を伸ばした、浅黒い顔の男が立っていた。
「大将!」と甲板に居た男達が叫び、皆その男の為に場所を空けた。そこに居るだけで、空気を圧するような存在感がある。
 男達は「大将」にこの場の中心を譲り、一歩二歩と下がった。その様子には、悪党たちの中にも、敬意を払われる存在があり、この世界にも秩序があることが伺われる。
 だがしかし、光はその男を見るなり、酷い衝撃を受けた。光の見開いた両の瞳は驚きに震え、背筋は凍りついた。光はただその場に硬直し、一歩も動くことが出来なくなった。大将と呼ばれる男は、ひたすら瞠目し驚愕におののく光に、一歩ずつ近づくと、光の前でぴたりと止まった。そして光に向かって言った。
「その様子を見ると、オレを覚えているらしいな。なぁ、臆病者の検非違使殿よ」
 「大将」の体は一目見て、五体が満足でないことが女や子ども達にも分かった。
 黒い髭の大男には両の腕が無かったのである。

 つづく


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