閨(ねや) |
寝室。 |
御目を伏せ給ひければ、心はえ知らず |
「オスカルは目を伏せていらっしゃるので、その心中はわからない」の意味。アンドレがオスカルの横顔を見ても(見えてないのですが)彼女の心積もりは見えない。心をおし隠した横顔…この顔美しいですね。「え〜ず」は「〜できない」という意味です。 |
女房のいと若やかなる |
訳すなら「若々しい侍女」かな。古典では貴人に仕える女性を「女房」というのです。アンドレとのタメ口がツボです。実は、その前にアンドレに「はあと」を飛ばしてた女房のことも書こうかと思ったんですが、オスカル様がコワイのでやめときました(笑) |
きむぢ |
あんた。対等以下の人物に用いる二人称の代名詞。 |
金瘡(きんさう) |
切り傷のことです。受験生の皆さん、こんなマイナーな単語は試験には出ませんよ〜。 |
弾き澄ましたる |
見事に弾いている。「〜澄ます」は「見事に〜する」の意味です。 |
かの楽人 |
言わずと知れたモーツアルトです。 |
おどろおどろしきものにこそ |
「おどろおどろし(驚々し)=仰々しい」はまさに「ダイナミック」の意味ですね。そのあとに「ふさわしいのだ」という言葉を補って解釈して下さい。モーアルトが役不足ならふさわしいのはベートーベンかな???でもここで「運命」が鳴ってはギャグになっちゃいますな。 |
急ぎ |
「準備・用事」という意味です。慌ててなくても「急ぎ」です。でもやはり切羽詰まってるから、オスカルにとってはここはまさに「急ぎ」だったのかもしれません。明日には死が待っているのかもしれないのだから(涙)。 |
「今宵一夜(いちや)、汝と……もろともに過ぐさばや。汝が妻(め)にこそ」 |
古語では「今宵」=「こよひ」、「一夜」=「いちや」です。でも読み方は作品によって様々なので「ひとよ」と読む用例もあるかもしれないです。「こよいひとよ」のフレーズがあまりに人口に膾炙し過ぎたため、あえてこれを使ってみたくなりました。「ばや」は文末で「〜したい」という意味を表わします。 |
あさましさ |
「意外さ」。悪い意味ではないのですよ。意外なあまり呆然とした様子を表わします。 |
艶なること、えも言はざりけり |
優美で美しいことと言ったら何とも表現出来ない。「艶なり」って優美な美しさを意味するんですが、時折見せるオスカルの表情はまさに「艶なり」!時々だからいいんですよね。秋葉風にいうと「ツンデレ」?? |
はかなき身 |
頼りない身。この謙遜の感覚はとても日本人的だと思います。古文ではよく自分のことを「はかなき身」と言ったりしますので。「サテュロス、タイタン」にあたるイメージ通りの古語が見つからなかったので、ここは何気にパス…(^皿^)♪ |
せちなるこそあはれなれ |
切実な様子がしみじみ心を打つ。アンドレってこういう感じですよね。「草むしり」シーンなんか、こってりとした古語で書けそうです。あ、鬼畜魂が…! |
さきはふ |
幸せにする。 |
つやつや |
全く。 |
おだしき御様 |
穏やかなご様子。この時のオスカルの表情、落ち着いてて恋する成熟した女性を感じてとても素敵です。
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ますらを |
「猛々しい男」、という意味で、「益荒男」と書きます。 |
〜ものかは |
文末で「〜ものだろうか、そうではない」という意味です。反語と言います。「〜ものにあらず」と同じ意味なのですが、反語にした方が意味が強調されるんです。ここでのオスカルの気持ちを考えるとやはり「ものかは」がぴったりのように思います。「お前こそが男らしいんだ!」と強く言ってますもの。 |
まめまめしく優しき男 |
誠実で優しい男。「まめまめし」ってアンドレにピッタリの形容詞だな〜って思っていたので、オスカルに言ってもらいました。 |
ゆるゆると時経たり |
ゆっくりと時間が経った。 |
細き御肩、かすかに震えたり |
あはは「ビクン!」のことです。ちょうどいい擬態語が見つからなくて……(^^;
。 |
おほひたる腕の熱きがたてくびより御胸を撫でたるままに |
「たてくび」はうなじ。この場面、二人の横顔しか描かれてなくて、肩にかけたアンドレの手がまだ肩に留まっているのか否か、この30年間悩んできました(笑)。ここはちょっと大胆になってもらいました。で、オスカルは「ドキン、ドキン…」と。 |
な恐れそ。恐ろしきことにあらず |
アンドレ一世一代の名セリフ「こわくないから…」を意訳しました。「な〜そ」は「〜しないで下さい」の意味です。だからここでは「こわがらないで」と言ってることになりますね。うきゃあ、これもいい♪…と思いません?(*^^*) |
枕(ま)かなむ |
「枕(ま)く」は「枕にする、共寝する、妻にする」の意味で殆ど奈良時代の文でしかお目にかからない言葉です。「巻く」と語源は同じですが、この「まく」という響きが好きでなんす。「〜なむ」は「〜してほしい」という意味ですよ。 ちなみに「枕く」の同義語には「契る(これはわかりますよね)・枕交はす・見る・あひ見る・かたらふ・さね」などたくさんあります。古語には色っぽい言葉が満載です。「みとあたはす」という表現もあります。古語辞典をお持ちの方はひいてみて下さい。詳しめの辞書でないと載ってないかもしれませんが。そのものずばりの意味で赤面しますよ〜(//v//)。 |
金糸 |
オスカルの金髪の比喩です。 |
襖(ふすま) |
寝具。ここではシーツということにしておきましょう。 |
年頃くゆりし本意 |
長年くすぶってきた本望。ブチブチ…。 |
かたみに |
互いに。 |
口吸ひ |
口づけ。 |
やをら |
そっと。 |
たゆたひたる気色 |
ためらっている様子。「気色(けしき)」は「様子」です。 |
御肌に〜以下 |
それで…こうしようというのだ(←意味不明(^^;)。 |
女
くらべこし 我が金の髪肩すぎぬ
誰がためにこそ かき乱しなめ
男 金の髪 過ぎにけらしなありありて
我がためにぞと 言ひし君はも
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交わし合う和歌ですが、もちろんオスカルとアンドレが和歌を詠むなんてことはありえないのだけど、もし二人が和歌を交わし合ったら、という妄想の中で考えてみました。ベッドの上でオスカルの金髪を乱す…これはアンドレだけです!彼女の唇を知っている未成年を含む三人の男たちも、寝具の上で乱れた金髪を見ることはかなわなかったんですよね(てか、かなったら困る)。「一夜を過ごす=髪を乱す」と象徴表現にしてみました。
これは平安時代の『伊勢物語』・第二十三段「筒井筒」に出て来る贈答歌のパクリです。「筒井筒」は幼なじみの男女が結ばれる話なんですよ。元の歌を紹介しておきます。本来贈答歌は男が先に詠むものなんですが、二人の場合だったらオスカルが先に詠むものありかな…と。
男…筒井つの 井筒にかけし まろがたけ 過ぎにけらしな 妹(いも)見ざるまに
(幼い頃、筒井の井戸の枠と丈くらべをした私の背丈も井筒を越したようだ。あなたに会わないでいる間にすっかり一人前になったんだよ)。
女…くらべこし 振り分け髪も 肩過ぎぬ 君ならずして 誰かあぐべき
(あなたと長さを比べてきた私の髪も肩を過ぎる長さになりました。あなた以外に誰がこの髪を結い上げて一人前の女にしてくれるというのでしょう、あなた以外にはいません)
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さるべきにやあらん |
そうなるはずの運命だったのだろうか、という意味の慣用句。 |
神さびたる |
神々しい。 |
いかがはゆゆしき |
何と神聖なことか。「いかがは」には「どうして、どんなにか」などの意味があります。 |
ゆかし |
見たい、知りたい、などの意味。 |
灯火のほのかなるに |
「仰向けとうつ伏せ」のあのコマです(*^^*)。あのコマをみて「ベッドがでかい〜(@_@)!」と思ったのは私だけではないと思うのですが……。 |
いとどしく |
ますます。 |
出陣の刻近づきぬ |
出動の時が迫った。原作には直接書かれていませんが、愛し合う二人に過酷な現実が否応なしに迫っていることは読んでいてひしひしと感じますよね(; ;)。 |